ロレックス春夏秋冬オークション速報|4本の特殊文字盤と歴代の名品
記事内の買取相場は2026年10月1日時点の自社調査データです

2026年9月28日、ロンドンのオークションでロレックスの「Four Seasons(春夏秋冬)」と名付けられた4本のデイトナが話題になりました。実はロレックスには、何十年も前から「1本だけの特別な文字盤」を作ってきた歴史があります。今回のニュースを入り口に、その系譜と、今の私たちでも触れられる範囲をたどります。
今回話題になった「春夏秋冬」オークションとは何だったのか
今回のニュースは、ロレックスがオークションハウスのフィリップス(Phillips)を通じて2026年9月28日にロンドンで行ったチャリティオークションです。ロジャー・フェデラー氏とレオナルド・ディカプリオ氏に縁のある2つの団体(教育支援のFederer Foundationと自然保護団体のRe:wild)への寄付を目的に、ロレックスは「春」「夏」「秋」「冬」をテーマにした、世界に4本しかないコスモグラフ デイトナを制作し、1本ずつ個別に競売にかけました。
フィリップスは手数料(バイヤーズプレミアム)を全て免除し、落札額の全額が寄付に充てられたと報じられています。時計専門メディアの報道によると、4本の合計落札額は英ポンドで3,730万ポンド(米ドル換算では約4,946万ドルと同じ報道内で示されています)。史上最大級のチャリティ時計オークションだったと伝えられています。日本円への換算はレートで変動するため、本記事では現地報道の通貨表記のまま記載します。
「春夏秋冬」4本はどんな時計だったのか
4本はすべてコスモグラフ デイトナをベースに、季節ごとに異なる貴金属・天然石文字盤・宝石を組み合わせた一点物です。フィリップス公式の紹介記事で確認できた組み合わせと、時計専門メディア(Watches By SJX、WristReview)が報じた個別の落札額は次のとおりです。
Spring・Ref.126599 SAVL
Summer・Ref.126595 SARO
Autumn・Ref.126598 TML
Winter・Ref.126596 SABV| 季節 | 型番 | ケース素材 | 文字盤 | 主な宝石 | 落札額(報道) |
|---|---|---|---|---|---|
| Spring(春) | Ref.126599 SAVL | 18ctホワイトゴールド | クリソプレーズ | パープルサファイア、ダイヤモンド | 680万ポンド |
| Summer(夏) | Ref.126595 SARO | 18ctエヴァローズゴールド | ターコイズ | ピンクサファイア、ルビー、ダイヤモンド | 1,030万ポンド |
| Autumn(秋) | Ref.126598 TML | 18ctイエローゴールド | ムーカイト | クリソプレーズ、グリーントルマリン、ダイヤモンド | 1,020万ポンド |
| Winter(冬) | Ref.126596 SABV | 950プラチナ | ブルーオパール | ラピスラズリ、ブルー〜フクシアのグラデーションサファイア | 1,000万ポンド |
※上の4枚の画像と表は、ロレックス公式サイト(rolex.com)の特設ページに掲載されている各個体の公式製品画像・情報にもとづいています。
この中で最高額はSummerだったと伝えられています。なお、これらは天然石を使った文字盤であり、この後に紹介する伝統的な「クロワゾネ・エナメル(七宝焼き)文字盤」とは技法そのものが違う点は押さえておきたいところです。
なぜロレックスは"特別な文字盤"を昔から作ってきたのか
実はロレックスが「1本だけの特別な文字盤」を作るのは今回が初めてではありません。1940年代後半〜1960年代にかけて、ロレックスはジュネーブの老舗文字盤メーカー、スターン・フレール(Stern Frères)などと組み、クロワゾネ・エナメル(七宝焼き)という技法で文字盤に絵柄を焼き付けたモデルを少数だけ作っていました。クロワゾネは、細い金線で文字盤に仕切りを作り、その中にエナメル(釉薬)を色ごとに流し込んで800℃前後の窯で1色ずつ焼き付ける技法です。
こうした特別文字盤を手がけた職人として名前が伝わっているのが、マルグリット・コック(Marguerite Koch)、カルロ・ポルッツィ(Carlo Poluzzi)、ネリー・リシャール(Nelly Richard)といったエナメル作家です。1本ずつ手作業で仕上げるため、同じデザインでも文字盤の絵柄が微妙に異なるのが特徴とされています。
歴代シリーズ①:動物・生きものをモチーフにしたクロワゾネ文字盤
コレクターの間でとくに知られているのが、ドラゴン(龍)をモチーフにしたクロワゾネ文字盤のデイデイト(Ref.6085など)です。時計専門メディアの報道では、こうしたドラゴン文字盤のRef.6085がフィリップスのジュネーブ・オークションで67万6,700ドルで落札された例や、香港のオークションで75万ドルとなった例が伝えられています。動物モチーフの中でも、実在が広く知られているのは鷲(イーグル)やドラゴンを描いたデザインです。
歴代シリーズ②:地図・海・自然をモチーフにしたクロワゾネ文字盤
動物モチーフと並んで有名なのが、海や自然をテーマにしたシリーズです。世界地図を描いた「マップダイヤル」、ヴァイキングの帆船(カラベル船)を描いたデザイン、海神ネプチューンを描いたデザインなどが知られています。時計専門メディアの報道では、1953年製とされるネプチューン文字盤の個体がクリスティーズのジュネーブ・オークションで60万9,000スイスフラン(同じ報道内で約63万ドル相当とされています)、マップ文字盤の個体がニューヨークのオークションで42万5,000ドルで落札された例が伝えられています。これらは1950〜60年代の20年ほどの間に、ロレックス・パテック フィリップ・ヴァシュロン コンスタンタン・オメガといった一部のブランドだけが、合わせても数百本規模しか作らなかったとされる希少なジャンルです。
こうした時計は、今どこで見られるのか
正直に言うと、クロワゾネ・エナメル文字盤の個体も、今回の「春夏秋冬」のような一点物も、一般の正規店の店頭に並ぶことはまずありません。動く機会があるとすれば、フィリップス・クリスティーズ・サザビーズ・アンティクォラムといった主要オークションハウスの時計オークション、もしくは今回のようなロレックス自身が主催するチャリティオークションです。気になる方は、オークションハウスのロット詳細ページや、今回参照した時計専門メディアの記事で実際の写真を見ることができます(出典はこの記事の末尾にまとめました)。本記事では、他社が権利を持つオークション個体の写真をそのまま転載することは避けています。
現行にも受け継がれる伝統:2026年発表のエナメル文字盤モデル
「エナメル文字盤はもう過去の話」かというと、そうとも言い切れません。2026年4月のWatches and Wonders 2026で、ロレックスはコスモグラフ デイトナのオイスターケース100周年を記念し、Ref.126502(通称「ロレジウム」)を発表しました。ステンレススチールケースにプラチナのベゼルとプラチナ製シースルーバックを組み合わせた仕様で、文字盤は白色のグラン・フー(grand feu)に近いエナメル仕上げとされています。
この文字盤は、4枚のセラミック製パーツをそれぞれ白エナメルでコーティングし、焼成した上で真鍮ベースに組み付けるという工程で作られていると報じられています。価格はUS$57,800、カタログには掲載されず「特別注文(special order)」という扱いで、2026年時点で正規店を通じて注文できる状態だと伝えられています。1940〜60年代のクロワゾネや今回の天然石文字盤とはまた違う技法ですが、「1本ずつ手間をかけて文字盤を作る」という方向性は、形を変えて今のロレックスにも残っていることが分かります。
現行のデイトナで"特別感"を味わうには
一点物やカタログ外の特別注文モデルは非現実的でも、現行のコスモグラフ デイトナには貴金属モデルという形で近い方向性の選択肢があります。たとえば現行のプラチナモデル(Ref.126506)はブラウンのセラクロムベゼルにサファイアのシースルーバックを備え、現行のイエローゴールド無垢モデル(Ref.126508)やエヴァローズゴールドモデル(Ref.126505)も存在します。いずれもCal.4131を搭載する2023年発表の現行第5世代です。もちろん一点物とは価格も希少性もまったく別物ですが、「貴金属×デイトナ」という方向性自体は、今のラインアップにも受け継がれています。
プラチナ・Ref.126506
イエローゴールド・Ref.126508
エヴァローズゴールド・Ref.126505
3126508ブライトグリーン&ゴールデンコスモグラフ デイトナ / オイスターブレスレット定価¥8,199,400 / 買取¥12,020,000〜¥13,280,000162.0%プレミア+¥5,080,600
4126506アイスブルーコスモグラフ デイトナ / オイスターブレスレット定価¥12,544,400 / 買取¥18,240,000〜¥20,160,000160.7%プレミア+¥7,615,600
5126506ダイヤモンド入りアイスブルーコスモグラフ デイトナ / オイスターブレスレット定価¥13,524,500 / 買取¥18,240,000〜¥20,160,000149.1%プレミア+¥6,635,500※2026年10月1日時点時点の自社調査データに基づく実測ランキングです(プレミア指数=推定買取相場上限 ÷ 定価 × 100)。
実際に今のデイトナの相場がどう動いているかは、上のランキングのとおりです(弊社の実測データをもとに自動更新されます)。「まずは着けてみたい」という方には、購入前にレンタルで試せるサービスもあります。
今回のニュースが教えてくれること
今回の「春夏秋冬」オークションが面白いのは、単に金額が大きかったからではありません。ロレックスという同じブランドの中に、①何十万個という単位で作られる現行モデルの世界と、②世界に1本しかない一点物の世界が、同時に存在しているという点です。そして後者は今回突然始まった話ではなく、1940年代のクロワゾネ・エナメル文字盤から、2026年のRef.126502まで地続きの歴史だということが、今回のニュースであらためて注目されました。
寄付先の一つであるRe:wildは自然保護団体、Federer Foundationは教育支援を行う団体です。ロレックスは「Perpetual Planet」という環境関連の取り組みを続けており、今回のオークションもその文脈に位置づけられると報じられています。興味を持った方は、ぜひ一次情報元(記事末尾)で実際の写真も確認してみてください。
まとめ
- 2026年9月28日、フィリップスのロンドンオークションで、ロレックスの一点物デイトナ4本「春夏秋冬」がチャリティのために競売にかけられ、合計3,730万ポンド(報道によれば約4,946万ドル)で落札された
- ロレックスには1940〜60年代のクロワゾネ・エナメル文字盤(動物・地図・海モチーフなど)から続く「特別な文字盤」を作る歴史があり、2026年発表のRef.126502エナメル文字盤モデルにもその流れが受け継がれている
- 一点物やヴィンテージのクロワゾネ個体には手が届かなくても、現行のデイトナには貴金属モデルという近い方向性の選択肢があり、気になった方はまずレンタルで試すこともできる
次の一歩として、デイトナの歴史をもっと詳しく知りたい方は関連記事もあわせてどうぞ。
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「春夏秋冬」4本の比較表の画像、および本文中の現行コスモグラフ デイトナ(Ref.126506・126508・126505)の製品写真は、いずれもロレックス公式サイト(rolex.com)に掲載されている公式製品画像を使用しています。
一方、1940〜60年代のヴィンテージのクロワゾネ・エナメル文字盤の個体写真は権利がフィリップス(Phillips)など各オークションハウスに帰属するため、本文には掲載していません。実際の見た目やオークション当日の詳しい写真を確認したい方は、以下の一次情報元でご覧いただけます(いずれも各社の著作物です)。
- フィリップス公式記事:Rolex Cosmograph Daytona "Four Seasons" Charity Auction | Phillips
- Watches By SJX:Rolex Daytona "Four Seasons" Set Shatters Auction Record
- WristReview:The Rolex Daytona "Four Seasons" Collection Sells For $49.4 Million
- Time and Tide Watches(Ref.126502の解説):Rolex Cosmograph Daytona "Rolesium"
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