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モデル解説

【廃番モデル図鑑】シードゥエラー Ref.1665——赤文字"ダブルレッド"とは何だったのか

2026年9月27日公開著者: ロレ男
【廃番モデル図鑑】シードゥエラー Ref.1665——赤文字"ダブルレッド"とは何だったのか

文字盤に赤い文字が2行。それだけで「1665だ」と分かる人は、かなりのヴィンテージロレックス好きのはずです。ロレックス 1665(Ref.1665)は1967年に登場した初代シードゥエラーで、前期モデルの赤い2行表記から「ダブルレッド」と呼ばれています。この記事では、赤文字が何を示していたのか、Mark区分ごとに何が変わったのか、そして後継モデルとの仕様差を、当サイトのファクトシートで裏を取った範囲で整理します。

ロレ男✨
赤文字のシードゥエラー、写真で見るだけでもテンションが上がるんだよな。
ヨメッチ🤔
見た目の話は分かったから、何がそんなに特別なのか先に説明して。

Ref.1665とは——1967年に生まれた初代シードゥエラー

シードゥエラーというシリーズの起点が、1967年から1977年まで生産されたRef.1665です。サブマリーナーが趣味のダイビングまでを想定していたのに対し、シードゥエラーは飽和潜水(サチュレーションダイビング)と呼ばれる、プロのダイバーが長時間高圧の環境に滞在する作業を前提に作られています。

防水性能は610m(2,000ft)。数字だけ見ると現行モデルより控えめですが、当時としては突出した水準で、しかもこのモデルから「ヘリウムエスケープバルブ」という仕組みが本格的に採用されました。

項目Ref.1665
生産年1967年〜1977年
防水性能610m(2,000ft)
特徴ヘリウムエスケープバルブを搭載
文字盤マット文字盤の時代区分に該当

「ダブルレッド」の赤い2行は何を意味しているのか

前期モデルの文字盤には、「SEA-DWELLER」と「SUBMARINER 2000」という2行が赤色で刷られています。この2行がそろって赤いことから、通称「ダブルレッド」と呼ばれるようになりました。

注目したいのは、2行目に「SUBMARINER 2000」と書かれている点です。シードゥエラーという名前を掲げながら、同時にサブマリーナーの系譜であることも示している——つまり、まだシードゥエラーが独立したシリーズとして完全に確立しきっていなかった時期の表記だと読めます。「2000」は防水性能2,000ftを指しています。

サブマリーナー側の同時期のモデルと並べて見ると、この過渡期の空気が分かりやすくなります。

👉 サブマリーナー Ref.5513——長寿モデルが体現する「変わらない」デザインの強さ【廃番モデル図鑑】サブマリーナー Ref.5513——長寿モデルが体現する「変わらない」デザインの強さ
ヨメッチ
シードゥエラーなのにサブマリーナーって書いてあるの、ちょっと面白いね。

Mark I〜Mark IVで何が変わったのか

Ref.1665は10年ほど生産されており、その間に文字盤やケースバックの表記が少しずつ変わっています。ヴィンテージの世界では、この変化を「Mark(マーク)」という区分で呼び分けます。

区分主な目印時期の目安
Mark Iケースバックに「patent pending(特許出願中)」の刻印。生産数が極めて少ないとされる1967年
Mark IIケースバック刻印が「Rolex Patent Oyster Gas Escape Valve」に変更1968年頃
Mark III・Mark IV文字盤の表記や王冠デザインが少しずつ変化。通常生産の中心1971年〜1977年
グレートホワイト文字盤表記が白1色になり「SUBMARINER 2000」の行が消える1977年

「patent pending」はヘリウムエスケープバルブの特許が出願中だった時期の刻印で、翌年には特許取得後の表記に切り替わりました。つまりケースバックの刻印を見るだけで、その個体がバルブの特許前後どちらの時期のものかが、おおよそ判断できるということです。

ロレ男
裏蓋の文字で作られた時期の見当がつくって、探偵みたいで面白いな。

1977年の「グレートホワイト」で赤文字は消えた

1977年、文字盤の表記が白1色に変わり、「SUBMARINER 2000」の行そのものが無くなります。これが通称「グレートホワイト」で、ダブルレッド期の終わりを示す区切りです。

この変更は単なるデザイン変更にとどまりません。サブマリーナーの名前を文字盤から外したということは、シードゥエラーが独立した一つのシリーズとして立った、ということでもあります。赤文字の価値がヴィンテージ市場で語られやすいのは、希少性だけでなく、この「独立する前の姿」を残しているからだと考えられます。

多くの個体が茶色く変わる——トロピカルダイヤルという現象

Ref.1665の話題で必ず出てくるのが、文字盤の変色です。当時の塗料は経年と紫外線によって黒からチョコレート色へ変わることがあり、こうした個体は「トロピカルダイヤル」と呼ばれています。

本来であれば劣化のはずですが、ヴィンテージの世界では「同じものが二つとない表情」として評価されることもあります。一方で、変色の程度や色ムラの出方は個体ごとにまったく違うため、写真だけで状態を判断するのが難しい部分でもあります。この点は、後ほどの中古選びのチェックポイントにも関わってきます。

ヘリウムエスケープバルブとは、何のための装置か

Ref.1665を語るうえで欠かせないのがヘリウムエスケープバルブです。聞き慣れない言葉なので、何のための装置なのかを先に整理しておきます。

飽和潜水では、ダイバーは高圧のヘリウム混合ガスで満たされた居住室に長時間滞在します。このとき、ヘリウムは分子が小さいため、時計のパッキンの隙間から内部に少しずつ入り込みます。問題は戻るときで、周囲の圧力が下がっていくと、時計の内側に溜まったヘリウムが外へ出ようとして風防(ガラス)を内側から押し上げてしまいます。

ヘリウムエスケープバルブは、この内圧を自動で逃がすための弁です。つまり「水が入らないようにする」装置ではなく、「中に入ってしまったガスを安全に出す」装置だという点が、他の防水機構との決定的な違いです。

ヨメッチ
水を入れない装置じゃなくて、入っちゃったガスを逃がす装置なんだ。
ロレ男✨
仕事道具として作られてるって感じがするよな。

後継Ref.16660で防水性能は2倍になった

1978年、後継のRef.16660が登場します。通称「トリプルシックス」と呼ばれるこのモデルで、シードゥエラーは大きく進化しました。

項目Ref.1665Ref.16660
生産年1967年〜1977年1978年〜1988年頃
防水性能610m(2,000ft)1,220m(4,000ft)
ヘリウムエスケープバルブ搭載より大型化して搭載
ムーブメント当サイトでは断定していない(後述)Cal.3035(28,800振動/時・27石・COSC認定)

ここで出てくる「COSC認定」は、スイスの公式クロノメーター検定機関が、時計の精度が一定の基準を満たしていることをメーカー以外の立場で保証する仕組みのことです。「28,800振動/時」は、ムーブメントの中の調速機構が1時間に何回振れるかを示す数値で、数が多いほど衝撃による誤差が出にくくなる傾向があるとされています。つまりRef.16660の世代で、精度の裏付けが外部保証つきになった、という理解ができます。

見落とされやすいのが、この2世代は約5年間にわたって並行生産されていたという点です。1978年にRef.16660が出たからといって、その年でRef.1665がすぐ消えたわけではありません。年式だけで世代を判断しない方がよい理由がここにあります。

さらに次の世代であるRef.16600(1988年〜2008年頃)ではムーブメントがCal.3135に切り替わり、防水性能1,220mはそのまま引き継がれました。同世代のサブマリーナーが300m防水であることを考えると、シードゥエラーがいかに特殊な立ち位置のモデルかが分かります。

現行シードゥエラー Ref.126600との距離

現行モデルはRef.126600です。当サイトのデータベースに登録している正規価格は2,156,000円(ブラック文字盤・オイスターブレスレット)で、上位のRef.126603(イエローゴールドコンビ)は3,331,900円です。

現行シードゥエラー Ref.126600(ブラック文字盤・オイスターブレスレット)

面白いのは、現行のRef.126600の文字盤にも「SEA-DWELLER」の赤文字が残っていることです。ダブルレッドのような2行ではなく1行ですが、赤い文字という要素自体は50年以上を経て現行モデルにも受け継がれています。Ref.1665の赤文字が単なる当時の仕様ではなく、シリーズのアイデンティティとして扱われていることが見て取れます。

ロレ男
今のモデルにも赤い文字が残ってるんだな。
ヨメッチ
50年つながってるって聞くと、ちょっと見方が変わるね。

相場の話——当サイトの集計にRef.1665の値が1件も無い理由

当サイトでは、主要な中古・買取事業者が公開している参考価格を毎日集計しています。ところがシードゥエラーの中でも、Ref.1665とRef.16660については、2026年9月20日時点の集計に値が1件も入っていません。一方で、Ref.16600・Ref.116600・Ref.126600については同じ日付で参考価格が取得できています。

これは単純に、1970年代の個体は型番単位で恒常的に値付けされるほどの流通量が無い、ということを示しています。状態・Mark区分・文字盤の変色具合で評価が分かれる以上、「Ref.1665の相場はいくら」という言い方自体が成立しにくい型番だということです。

そのため、この記事では具体的な金額を示しません。金額が知りたい場合は、後継世代の数字を眺めて雰囲気をつかむよりも、実際に個体を見てもらって値を出してもらう方が確実です。

【持っている人へ】買取に出す前に確認したいこと

家にRef.1665が眠っている場合、いきなり1社だけに出すのは避けた方がよい型番です。前の項目で書いたとおり、型番単位の相場が成立しにくいぶん、評価は見る人によって差が出ます。

  • Mark区分が分かる資料や写真を用意しておく:ケースバックの刻印は判断材料になります。
  • 文字盤の変色を「劣化」と決めつけない:トロピカルとして評価されることもあります。
  • 付属品の有無を先に確認する:保証書・箱・当時の資料が残っているかで話が変わります。

【探している人へ】中古で選ぶときに確認したい3点

  1. 文字盤の赤文字の状態:退色の程度は個体差が大きく、写真の光の当て方でも印象が変わります。可能なら実物か、複数角度の写真を見せてもらいましょう。
  2. ケースバックの刻印:「patent pending」か「Rolex Patent Oyster Gas Escape Valve」かで、おおよその生産時期の見当がつきます。
  3. 直近のオーバーホール歴:1970年代の個体は内部のコンディションが個体ごとに大きく異なります。いつ誰が開けたかの記録があるかを必ず確認してください。

3点とも、販売店の担当者に直接質問すれば答えてもらえる内容です。逆に、これらに曖昧な返答しか返ってこない個体は、急いで決めない方が安全だと考えています。

資料によって説明が食い違う点を、そのまま書いておく

ヴィンテージモデルを調べていると、情報源によって説明が食い違う場面に必ずぶつかります。この記事でも、断定しなかった点を2つ挙げておきます。

  • Mark区分の粒度:ある専門サイトはMark 0〜Mark VIIの7段階で説明し、別の専門サイトはMark I〜Mark IV+グレートホワイトという区分で説明しています。「ダブルレッドから始まり、1977年にグレートホワイトで赤文字が終わる」という大枠は一致していますが、細かい段階の数は一致していません。
  • 搭載ムーブメント:当サイトのファクトシートにはCal.1575(初期)と記録していますが、これを明記した一次情報の確認が取れていません。複数の腕時計専門サイトではCal.1570系統とする記述も見られるため、本記事では断定を避けています。

ヴィンテージの型番は、調べれば調べるほど「確実に言えること」と「言われていること」の境目が曖昧になります。購入や売却の判断に関わる部分ほど、どちらなのかを意識して読むことをおすすめします。

他の廃番モデルと比べて見る

同じ時期の廃番モデルと並べると、Ref.1665の立ち位置がより分かりやすくなります。

👉 GMTマスター Ref.1675——なぜ今、二本針のGMTが見直されているのか【廃番モデル図鑑】GMTマスター Ref.1675——現行GMTと同水準で評価される初代、その見分け方👉 エクスプローラーI Ref.14270——サファイアクリスタル移行期の分岐点モデル【廃番モデル図鑑】エクスプローラーI Ref.14270——サファイアクリスタル移行期の分岐点モデル👉 オイスターデイト Ref.6694——ロレックス最後の手巻きモデル【廃番モデル図鑑】オイスターデイト Ref.6694——ロレックス最後の手巻きモデル

まとめ

  • Ref.1665は1967年〜1977年生産の初代シードゥエラーで、「SEA-DWELLER」「SUBMARINER 2000」の赤い2行がダブルレッドの由来
  • 後継Ref.16660で防水性能が610m→1,220mへ倍増し、バルブも大型化。ただし2世代は約5年間並行生産されており、年式だけで世代は判断できない
  • 型番単位の相場が成立しにくい型番のため、当サイトの日次集計にも値が入っていない。金額は個体を見てもらって確認するのが確実

次の一歩として、他の廃番モデルの記事も読んでおくと、ヴィンテージロレックスを選ぶときの自分の軸が決まりやすくなります。

ヨメッチ🤔
それで、見てみたい熱はいつ本物になるの?
ロレ男
まずは行ってみないと分からない、でしょ。
シードゥエラーの最新買取相場を見る定価・プレミア額・プレミア指数つき一覧表はこちら

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